FX相場分析ブログ

FXの相談分析ブログに改名します。ドル円、ポンド円、ユーロ円がメインです

ロシアのウクライナ侵略

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はこの数カ月もの間、ウクライナを攻撃して侵攻するつもりはないと繰り返していた。しかし21日にはついに、停戦協定を破棄し、ウクライナ東部で親ロシア派の武装分離勢力が実効支配してきた2つの地域について、独立を自称してきた「共和国」を承認した。そして24日、ロシアは陸海空からウクライナ侵攻を一斉に開始した。

 

死者の数は増え続けている。プーチン氏は今や、欧州の平和を打ち砕いたと非難されている。この次に何が起きるのか。それは欧州全体の安全保障体制を脅かすものになりかねない。
 

ロシア軍はどこへ、それはなぜ

f:id:A_style:20220301200347j:image

ロシア軍が最初に攻撃したのは、ウクライナ各地の都市に近い空港や軍本部だった。首都キーウ(キエフ)のボルィースピリ国際空港も標的になった。

続いて戦車や部隊は、人口140万人の北東部の都市ハルキウの近くから国境を越えて侵攻した。東はルハンスクの近くから、北はベラルーシから、南はクリミアから、次々と進んだ。
キーウ近郊の空軍基地を空挺部隊が制圧し、オデーサ(オデッサ)やマリウポリの大港湾都市にもロシア軍は上陸した。
侵攻開始の直前、プーチン大統領の演説がテレビで放送された。プーチン氏はその中で、今のウクライナから脅かされているため、ロシアは「安全を感じられないし、発展もできなければ、存在もできない」と述べた。
プーチン氏の主張のほとんどは、事実と異なるか、非合理的だった。自分の目的は、威圧され民族虐殺に遭っている人たちを守るためだとしたほか、ウクライナの「非軍事化と非ナチス化」を実現するのだと述べた。ウクライナで民族虐殺は起きていない。ウクライナは活発な民主国家で、大統領はユダヤ系だ。「いったいどうやったら私がナチスだというのか」と、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は反発した。逆にゼレンスキー氏の方が、ロシアによる侵攻は第2次世界大戦のナチス・ドイツによる侵略に匹敵すると批判した。
ウクライナでは2014年に親ロシア派のヴィクトル・ヤヌコヴィッチ大統領が、数カ月続く国内の反対運動の末、失脚した。これ以降、プーチン氏はこれまでも頻繁に、ウクライナは過激派にのっとられたと非難していた。ヤヌコヴィッチ氏失脚を機に、ロシアはクリミア半島を併合した。さらに、ウクライナ東部の反政府分離運動を引き起こし、分離派を後押しした。この分離派とウクライナ国軍の戦いでは、すでに1万4000人が死亡している。
プーチン氏は2021年後半には、ウクライナ国境周辺にロシア軍部隊を大々的に集結させた。そして21日にはウクライナ東部をめぐる2015年の和平協定を破棄し、分離派が一方的に「共和国」を名乗った地域の独立を承認した。
ロシアは以前から、ウクライナ欧州連合EU)や北大西洋条約機構NATO)に入ろうとする動きに反発してきた。24日に侵攻開始を宣言したプーチン氏は、NATOが「我々の民族としての歴史的未来」を脅かしていると非難した。

f:id:A_style:20220301200443j:image

ロシアはどこまでやるのか

ロシアは、ウクライナで民主的に選ばれた政府を倒すつもりなのは今や明らかだ。ウクライナは抑圧から解放され、「ナチスから浄化されるべき」だとしている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、自分が「標的その1、私の家族が標的その2」になっていると警告されたことを明らかにした。
ウクライナは2014年にファシストに制圧された」という、事実と異なる理屈は、ロシアの政府系テレビが繰り返し展開しているものだ。プーチン氏は「民間人に対する流血の犯罪を繰り返した」者たちを法廷で裁くつもりだと言及している。
ロシアがウクライナをどうするつもりかは不明だが、ウクライナ国民は強くロシアを敵視しており、激しい抵抗が予想される。
今年1月にイギリス政府は、ロシアが傀儡政権をウクライナに樹立するつもりだと非難。ロシアは当時これを、あり得ない話だと一蹴した。未確認の英情報部報告は、ロシアがウクライナを2分しようとしているとしていた。
侵攻開始の数日前、ウクライナ国境の近くに最大20万人規模の兵を集めていた時、プーチン氏は東部に意識を集中させていた。
ロシアが操るルハンスクとドネツクの「人民共和国」の独立を認めることで、プーチン氏はすでに両地域はウクライナの一部ではないと決定していた。続いて、両「共和国」がさらにウクライナ領土を獲得する権利があるという主張も、支持してみせた。
自称「共和国」の面積は、ルハンスクとドネツク地方全土の約3割強を占めるが、分離派勢力は両地域のすべてを獲得しようとしている。

 

欧州にとってどれほど危険な事態なのか

欧州の主要国が隣国に侵攻するのは、第2次世界大戦以来、初めてのことだ。その渦中にいるウクライナの人たちと、それを目撃している欧州の人たちにとって、これは恐ろしい事態だ。
ドイツが「プーチンの戦争」と呼んだ戦いで、すでに軍人か民間人かを問わず、数十人が死亡している。1940年代以降、欧州諸国の首脳たちがこれほど暗く厳しい思いをしたことは、めったになかった。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、欧州の歴史にとって転換点だと述べた。冷戦時代を念頭に、ゼレンスキー大統領は、ロシアが新たな「鉄のカーテン」を閉じて文明世界を排除しようとしているとして、ウクライナがそのカーテンの後ろに引き込まれることがあってはならないと述べた。